たとえ話

議論においてたとえ話を持ち出すと不毛な議題になりがちだ。なんでかなー、と考えてみた。
例えた人は議論の対象と例に共通の前提事項を置いていて、話を単純化するか、より抽象的なレベルの話にしたいかのどちらかなんだろうな、と思う。で、その前提に賛同できていない人や、その前提事項以外の部分を論点にしている人がそれに反論するわけだ。
だったら、たとえそのものが正当かどうかを争うんじゃなくて、そこに存在する前提条件のすりあわせをすればいいのである。が、なかなかそこにたどり着くことは少ない。
そう考えればたとえ話はうまく使えば論点、というか伝わっていない前提条件をあぶりだすことができるかもしれない。例えば「著作権者がOKといっているのに、Wikipedia のルールで駄目だから載せないなんていうのはおかしい」という理屈は Wikipedia を出版社に置き換えれば明らかにおかしい*1。だから、「『著作権者がOKといっているのに、出版社のルールで駄目だから出版しないなんてのはおかしい』ということですか?」とでも話を振れば、理屈の前提となる条件を引き出せるかもしれない。
まぁ、それ以前にちゃんと前提条件のすりあわせをできるようにしたいところである。例えば、同じ理屈を別のなにかに適用してみておかしくないかチェックする。別のもので同じ理屈が適用できないのであればそれとの差異に何かの前提条件が隠れているはずで、まずはそれを確認して言語化するといいと思う。

*1:私は Wikipedia のままでも十分おかしいとは思いますが、そうは思わない人がいるので